傘岩

傘岩

傘岩目次

傘岩について

傘岩は「かさいし」、または「かさいわ」と読みます。

英語では「Kasa Rock」と表記するようです。

「傘」はそのままなのに、「岩」だけ英語になっています。

金閣寺が「Kinkakuji Temple」と表記されるのと同じようになんだか納得できない感じがしますね。

雑談はさておき、傘岩について見ていきましょう。

岐阜県恵那市大井町にあるこの奇妙な岩は、東濃の山中で信じられないほど長い年月の間、風食され続けて形作られた花崗岩です。

その珍しさから昭和9年(1934年)に国の天然記念に指定されています。

また、国指定の地質・鉱物天然記念物でもあり、驚くことにそれは全国で3件しか登録されていないのです。

傘岩が位置しているエリアは「恵那峡」と呼ばれています。

恵那峡は、大井ダムを含んだ非常に美しい渓谷で、季節によってその姿を変えるので、四季を存分に感じることができるスポットです。

恵那峡の地形は、花崗岩の台地が木曽川によって浸食されて渓谷へと変形していったものです。

恵那峡一体の花崗岩は「苗木花崗岩」と呼ばれており、傘岩もそれに含まれております。

傘岩はそんな恵那峡の一端に位置する観光名所なのです。

傘岩はもともと地面から突き出した、ただの岩だったのですが、花崗岩の地表面に近い部分が風食されやすいという特徴もあり、長い間、風雨にさらされ続けることによって、天頂部以外のパーツが細く削られてしまいました

この風食のされ方には諸説があり、例えば、恵那峡を流れている木曽川の水位がもともと傘岩ほどの高さで、単純に川による風食作用なのではないかという説もあります。

花崗岩に起こるこの風食作用はマサ化と呼ばれています。

具体的には、岩の風化がかなり進行し、その岩がもろくなってしまうことを言います。

恵那峡の岩石を見てみるとわかるのですが、マサ化はどの岩にも均等に起こるというわけではありません。

すべてもろくなってしまったら、恵那峡がなくなってしまいますので。

花崗岩にも硬い場所とそうでもない場所があり、やはり弱い場所のほうが風化や浸食の作用を受けやすいものです。

傘岩は「苗木花崗岩」に属しており、程近いところにある花崗岩の採掘場でもマサ化しているものが見つかっており、中津川市にある「女夫岩」にも同じような傾向があります

傘岩もマサ化の影響を受けているのは明らかですね。

傘岩の場合は、まずは円柱の形をした岩が風化により残って、偶然にも天頂部が硬い岩質になっており、その下から地表部分に至るまでの「幹」となっている箇所が脆弱な組織で構成されていました。

そのため、天頂部以外の脆弱な組織を持った部分が長年の風化により、じわじわと削り取られていったのです。

傘岩のこの硬い部分と脆弱な部分は超自然的なバランスであり、奇跡ともいえるような風食作用を受けて、今のような奇岩と呼ばれるほどの形が形成されるに至ったのです。

では、傘岩のサイズについて見ていきましょう。

傘岩の高さは5.5メートルです。5.5メートルといえば、消防車の全長と同じくらいです。

そう考えるとかなり大きく見えてきますね。

傘の部分の周囲は10.2メートル、基部の周囲は5.1メートル、くびれの一番細い部分は2.3メートルです。

写真で見ると、なぜか小さいイメージを持ってしまうのですが、実際には比較的大きい岩です。

マサ化が起こりやすい恵那峡では、巨石が点在しており、この傘岩にもその傾向がみられます。

このくびれでよく直立をキープできているな、よく今まで倒れなかったなあと思いますよね?

実は、傘岩の風化は現在も進行中であり、いつかは天頂部の重さに耐えきれないほど、くびれの部分が細くなってしまい、上から倒れてしまう危機に面しているようです。

貴重な奇岩が失われてしまうのは悲しいものです。

いつかは添え木のようなもので支えられてしまうのでしょうか。

見られなくなってしまう前に恵那峡に立ち寄った際には、傘岩を一目見るチャンスを逃さない方がいいかもしれませんね。

ぜひお早めに訪れることをおすすめします。

現在は、そういった崩壊の危険を防ぐためか傘岩の周囲に柵が設けられており、実際に触ったりすることはできません

昔は開けた場所だったのでしょうか。

かつては、遠くからも見つけることができ、「過客の目印」として恵那峡のシンボル的扱いをされていた傘岩の保護には避けられない対策です。

倒れないことを祈るばかりです。

もし傘岩が崩壊して見られなくなってしまったとしても、恵那峡のことは忘れないでくださいね。

非常に綺麗な場所です。

今日、今、この瞬間も傘岩はじめ恵那峡の岩々は風化・浸食され続けているわけですので、何回行っても前よりは風食されているのかなとどこかしら新しい心持ちで訪れることができるという捉え方もあります

千畳敷岩、苗木城、大井ダムといった観光スポットが周辺にあり、また、福沢諭吉の娘婿である福沢桃介や川上貞奴といった人物が恵那峡には関わっているので、人物への興味という観点から訪れてみてもいい経験になるのではないかと思います。

傘岩の見どころ

傘岩

傘岩の見どころは何と言ってもそのミステリアスな形でしょう。

傘というよりキノコのように見えるその岩はきっとあなたの心を惹きつけてくれるでしょう。

自然のすごさをひしひしと感じるチャンスです。天然記念物に指定される理由がわかると思います。

自然の造形美、傘岩が形成されるに至った経緯などを感じながら、とくとお楽しみください。

傘岩は恵那峡の中では最も有名な観光スポットというわけではありませんが、「穴場」という単語がぴったりな場所です。

朝の気持ち良い空気の中、散歩がてらに訪れてみるのもいいですし、夕方の太陽が沈みゆく美しい空を背景に傘岩を眺めてみるのも粋です。

空、木々、岩の3つの自然のすばらしさを一度に体感できます。

雨の日に実際に傘をさしている中で、傘岩を訪れ、傘と傘岩の写真を撮ってみるもの面白いかもしれません。

また、先程、紹介したように、傘岩を含んで広域的な地域である恵那峡は自然に充ち満ちており、春夏秋冬、四季折々の姿が楽しめるスポットです。

季節によってその風貌は大きく変化するため、年に4回行っても飽きることなく、自然の美しさにほれぼれするでしょう。

そのため、この傘岩周辺にも桜の木や紅葉の木を見つけることができます。

傘岩-秋

春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は寒々とした木々の寂寥感を楽しむことができます。

傘岩までの遊歩道はしっかり整備されているので、比較的歩きやすいです。

そのため、老若男女問わず散策を楽しめます。

年配ご夫婦で静かなひと時を過ごしたり、家族みんなで印象に残る思い出を残すもよし。傘岩は万人に対してオープンです。

 千畳敷岩という別のスポットが同じ散策ルートにあるので、傘岩とセットでめぐってみるのもいいでしょう。

距離もそんなに遠くなく、途中の分岐点にある看板にも案内が出ているため、すぐに回れてしまいます。

後で紹介するように、千畳敷岩からは素晴らしい景色がみられるので、傘岩とは一味違う楽しみ方ができるでしょう。

 傘岩を見に行くことで、奇岩など岩の魅力に魅せられてしまい、気づいたら岩マニアになっているという、岩博士への扉を開いてくれる可能性を秘めているスポットなので、一度足を運んでみるのを強くおすすめします。

お子さんと一緒に行って、岩だけでなく、「これはこういう木でこんな特徴があるんだよ」といったことを教えてあげたり、子どもたちが興味を持ったことを一緒に学ぶのも楽しいに違いありません。

どのようなケースであるにせよ、記憶に残る場所ですので、訪れて損はありません。

傘岩の周辺

千畳敷岩

すでに触れた場所もありますが、傘岩から一番近いスポットは千畳敷岩です。

千畳敷岩は一枚岩であり、開けた場所になっているため、素晴らしい景色を楽しめます

晴れの日には恵那峡を流れる綺麗な川や笠置山を一気に見ることができるので、傘岩を訪れた際にはこちらにも寄ってみましょう。

苗木城跡

また、この岩の近くには苗木城跡という観光スポットもあります。

その頂上はなかなか急な傾斜を乗り越えた先にあるのですが、そこからの眺めは感動すら覚えます

透き通った木曽川、青々とした森、木々に囲まれた街々。まさに一望できます。

こちらも一度は行ってみるべきスポットです。

そして大井ダムも欠かせません。

こちらは前述した福沢桃介が建設した日本で初めての発電するために作られたダムです。

ダムの周りには散策路があり、福沢桃介のモニュメントがあったり、ダムの建設がどれほどの苦労を要するものなのかを肌で感じられる場所になっています。

恵那峡遊覧船

 恵那峡遊覧船もおすすめです。

エメラルドグリーンの美しい川と季節によって変化する大自然の色彩を船の上で感じることができます

船内ではアナウンスもしてくれるので、見るべきポイントは逃さないでしょう。

苗木城で川を上から眺めたあとに、この遊覧船で川に近づいてみるのもいいコースかもしれません。

アクセス

「恵那峡公園前」バス停留所

電車を利用する場合は、最寄り駅がJR「恵那駅」もしくは明知鉄道「恵那駅」となります。

どちらの駅からも傘岩までは約60分歩かなければならないので、あまりお勧めはしません。

60分ってもうちょっとしたハイキングですよ。近年の夏は非常に暑いので、熱中症にならないためにも、駅から徒歩で行くのはやめておきましょう。

駅からバスを利用するのを強くおすすめします

バスに乗る場合、東農鉄道バス恵那峡行きに載っていただければ、各駅から15分ほどで到着します。

「恵那峡公園前」バス停でバスを降りるとすぐです。

バスで行くとき、道中でもう自然を少し楽しめるので、外の景色を眺めながら行くのもいいですね。

山道で外を眺めていたら、車酔い防止にもなるので一石二鳥です。

それぞれの駅から自家用車で行く場合は約10分で傘岩に行けます。

各バス停に止まらなくていい分、バスより少し早いですね。

車で傘岩まで行く場合は、中央自動車道の「恵那IC」から恵那峡の方面に進んでもらい、約10分で到着します

傘岩付近には100台駐車できる駐車場が完備されているので、車で来る方が便利です。

何か困ったことがあったら、恵那市の観光協会に電話して、質問してみるのも手ですね。

(電話番号0573-25-4058)

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